石崎小児科マーク

離乳の進め方

 その3)嘔吐、下痢


 昔は胃腸炎といえば細菌感染によるものが多かったものですが、最近はビールス感染によるものの方がずっと多いようです。

ことに寒くなって来ますとビールス感染による胃腸炎が増えて来ます。嘔吐や下痢の症状は、胃腸の食物を消化する能力がかなり落ちていることを示す状態です。

消化できない食べ物が胃腸の中に長く留まっておりますと、食べ物がお腹の中で腐って来ます。そうなっては大変ですから食べ物を体の外へ早く出すために胃の中にあるものは嘔吐で、腸にあるものは下痢で体の外へ出しているわけです。

 吐いたときは原則として、吐き気がおさまるまで何も与えません。脱水症を心配して水を飲ませたがるお母さんもおりますが、吐き気の強いときは水を飲ませても吐きますし、飲んだ水のほかに胃液も吐きますのでよけい脱水症になりやすくなります。

ですから吐いた場合は、もし吐き気止めの座薬があればその座薬をさして、吐いて2時間はなにも口から与えないでください。2時間たちますとたいていは吐き気がおさまって来ますので、ほしがったら水、薄目のお茶、スポーツ飲料などを50cc以内与えて下さい。ジュース類や炭酸の入ったもの、コーヒー牛乳などはよくありません。

2歳未満の赤ちゃんには赤ちゃん用のアクアライト、ビーンスターク、イオン飲料などを飲ませて下さい。そのあと30分くらいは吐かないかどうか確かめます。30分たって吐かなければ前と同じ水分を100cc以内飲ませて下さい。

このとき、もしふだん飲みなれておれば、温めた牛乳を100cc以内飲ませても結構です。そのあと今度は1時間何も与えずに吐かないかどうか確かめて下さい。それで吐かなければ消化のよい食事(おかゆ、煮込んだうどん、食パンなど)を始めます。

この食事を吐かないようでしたら、このあと水分は欲しがるだけ積極的に与えて下さい。もしこの方法で吐き気が止まらないようでしたら小児科の診察を受けて下さい。咳とかむせて吐いた場合は胃腸が悪いわけではありませんから、欲しがったらすぐ飲んだり食べたりして結構です。

 下痢の場合はやはり胃腸の消化機能が落ちているわけですから、食事はなるべく消化の良いものでなければなりません。弱った胃腸を回復させるためには胃腸を休ませることも必要です。少しずつちょこちょこ食べさせるのはもっとも良くないことです。

胃腸の消化機能が落ちておりますので、消化の良いものを少し食べてもそれを消化するのに時間がかかります。それがちょこちょこ入って来ますと、胃腸の休まるひまが無くなります。胃腸を休めずに薬だけで下痢を止めようとしても、それは無理です。

食事は食べても食べなくても1日3回与え、おやつは1日1~2回時間と量を決めて与えて下さい。おやつはなるべく砂糖やあめを使っていないものにて下さい。胃腸が弱っているときには当然食欲が落ちますので、食べなければ食べない方が良いのだと思って下さい。

 食欲のないときに、頭の中であんなものを食べてみたいと思うことがあります。しかし実際それが目の前に出されて食べてみるとやっぱり食べれないということがあります。

ですから食事と食事の間に何か食べたいといっても与えないで下さい。食事の時間に喜んで食べるようになるまでは、間に欲しがっても何も与えない方が早くなおることができます。ただし水分は吐き気がなければ食事と食事の間に欲しがるだけで与えて下さい。水分は胃腸の負担にはなりません

 食事制限をしておりますと、回復期に突然食欲が出てくることがあります。このときに食べ過ぎますと、胃腸がまだ完全には回復しておりませんので病気をぶり返してしまいます。急に食べ過ぎないように気をつけて下さい。