その2)せき |
咳の出る原因は気道の分泌物を体の外に出すためです。気道とは肺のなかへ空気を送るための体の中の通路です。気道は声帯から上の鼻からのどまでを上気道、声帯から下の気管、気管支などを下気道と言います。
風邪は上気道炎ですので、気管、気管支は関係ありません。鼻やのど(咽頭、喉頭)などの分泌物がのどに下がってくるため咳が出るのです。この咳は止めるわけにはいきません。
ですからこの咳の治療の目的は、痰を切れやすくして何回も咳をしてやっと出るような痰を2~3回の咳で出るようにしてやれば、咳の回数がうんと減り楽になります。
冬は空気が乾燥し痰をねばっこくしますので、咳のでる子供には水分を充分にあたへ、部屋の湿度を保つために加湿機があれば理想的です。無ければ部屋のなかで洗濯物を干すのもかなり効果があります。あるいはバスタオルを2~3枚濡らして部屋に干しても結構です。
気道に入ってくる空気の温度が急激に変化しても、それが刺激になって咳が出ます。ですからやむを得ず外に出るときはマスクをつけましょう。マスクは冷たい空気が直接気道に入るのをかなり緩和してくれます。
お風呂は熱がなければ、むしろ積極的に入ったほうが良いでしょう。血液の循環が良くなりますし、蒸気吸入をかけたような効果もあります。鼻詰まりなどはお風呂に入ることで解消することもあります。ただし洗い場で遊ばせておくような入れかたは良くありません。お風呂に入ったとき浴槽で暖めるには良いのですが、あがるときにがっちり暖めるのは良くありません。
北海道では冬は部屋を暖房いたしますので、お風呂でがっちり暖められて暖かい部屋に入ってきますと、汗をたっぷりかいてしまいます。そうしますと着ているものがかなり湿っぽくなります。そのまま湿っぽい服を着ていますと冷え込みやすくなります。
またせっかくお風呂に入ったのに汗だらけになったのでは何のためにお風呂に入ったのかわかりません。お風呂は汗を流すために入るのであって、汗をかくために入るのではありません。サウナとは違います。
咳が気になるくらい出ますと、ふだんあまり使わないような腹とか胸の筋肉をかなり使います。このためおなかの筋肉痛をおこすこともあります。この筋肉の運動はかなり体力を消耗します。
1日中咳が出ている状態ですと熱が38度くらいあるよりずっと体力を消耗します。ですから体力の消耗を防ぐ意味で安静が必要です。
学校や幼稚園、保育園などは咳が気にならなくなるまで休ませて下さい。うちのなかでは寝てなくても結構ですが、飛んだり跳ねたりしないよう、なるべく安静にしてください。
過激な運動をしますと呼吸がハアハアなります。そうしますと気道に負担がかかります。気道に炎症を起こしているときに気道に負担をかけながら薬だけで治そうとしても、それは無理です。出来るだけ安静にして1日もはやく治るように心がけましょう。