石崎小児科マーク

離乳の進め方

 その4)離乳後期


 生後10ヶ月から満1才までを離乳後期と致します。赤ちゃんが10ヶ月になりましたら、朝、昼、夜の3回離乳食を与え、母乳またはミルクは午前10時ころと午後3時ころの1日2回にします。寝る前の母乳やミルクはなるべく早く与えなくてもすむようにしたいものです。

 人間の膀胱は原則として、寝る前に排尿すれば朝までもつように出来ております。しかし寝る前に水分をとれば朝までもちません。ですから寝る前に母乳やミルクを飲まずに寝られるようになれば、夜のおむつが早く外せるようになります。寝る前に母乳やミルクを飲むのを習慣づけてしまいますと夜尿症の一因になることがあります。

 話はすこし離乳からそれますが、夜間のおむつはぬれたら夜中でもなるべく早く取り替えて下さい。紙おむつだから2~3回貯めても良いとは思わないで下さい。

濡れたおむつを朝まで取り替えないでおきますと、おむつが濡れても平気で寝ていられるようにしつけているようなものですから、夜のおむつがなかなか外せなくなり、ときにはそのまま夜尿症になってゆくこともあります。

またおむつが濡れてたままの状態で寝せておりますと、赤ちゃんの体温で水分が蒸発します。そうしますと熱が奪われますので一晩中赤ちゃんのお尻を冷やしながら寝かせておくことになります。またおむつかぶれの原因にもなることがあります。

 さて人工栄養の赤ちゃんは離乳後期用のミルクに変えることになっておりますが、必ず変えなければならないものではありません。今まで与えていたミルクを続けてもかまいません。ミルクの回数が減ってきますと、ミルクの1日使用量が減ってきます。

缶入りの粉ミルクは封を切ったら出来るだけ清潔に取り扱って3週間が限度と思って下さい。ミルクの量を量る匙をミルク缶の中に入れておいたら、もっともっと早く悪くなります。1缶を3週間以内に使い切れなくなったら、1回分ずつ小分けにしたミルクを買うようにして下さい。

 母乳栄養の赤ちゃんはなるべく母乳の回数を減らすように心がけて下さい。母乳を不規則にちょこちょこ与えておりますと、おなかが空きませんので、離乳食の量が増えていきません。そのまま離乳が終わりますと、さっぱりご飯を食べてくれない子供になっていくことがあります。

将来母乳をやっと止めても、今まで飲んでいた母乳のかわりにジュース、ヤクルト、カツゲンなど水ものばかり欲しがって、食事はさっぱり食べてくれないということになりかねません。

 母乳は赤ちゃんが満1才になったころ赤ちゃんのほうから離れていくのが理想的です。しかし理想どうりにはなかなか行きません。いつ母乳を止めるべきかほとんどのお母さんが悩みます。

赤ちゃんが満1才になりますと、だめという意味が分かるようになります。親が一度だめと言ったことは絶対だめなんだということを躾る時期なのです。この時期に一度だめと言ったことをあまり泣くからといって良いことにしてしまいますと、どんなことでも泣きさえすれば自分の思いどうりになるんだよと躾ているようなものです。

これが3才までつづきますと、親の言うことはきかなくても良いと言う子供がしっかり出来上がります。ですから母乳をやるならやる、やらないならやらないとはっきり決めて下さい。だめと言ってはだらだらやってしまうのが一番悪いのです。

 最後にお粥をいつからご飯にするかの問題です。この時期の赤ちゃんにご飯ではなくお粥を与えるのは、消化の問題ではなく食べやすさの問題です。

赤ちゃんは前歯ははえても奥歯はまだはえておりません。ですから赤ちゃんの柔らかい歯ぐきでも噛めるようにお粥を与えるのです。

あまり早くご飯を与えますと、食べにくいために食べる量が増えて行かないことがありますし、ご飯の味を覚えますとお粥を食べなくなってしまうことがあります。上手に食べられるようでしたら、柔らかく炊いたご飯でも結構です。